2019年度 城西国際大学学術賞

◆ 2019年度 城西国際大学学術賞

○ 受賞者: 呉美寧(崇実大学校 )

○ 論文題目: ソウル大学校蔵『源氏物語』(貴3201/60B)の書き込みについて
　　　　　 (第54輯, 2017年 12月, pp.125-138) [論文19-02]

*選定理由：この論文は、日本の代表的な古典と言える『源氏物語』(ソウル大所蔵本)の注記を通して、写本の特徴を綿密に調査したものである。その具体的な特徴として、漢字使用率が高く内容を理解しやすくした注釈的本文、及び高度学習本という点、さらに「朱」と「墨」で本文の上に様々な内容が多数記入されている点を示した。また、表記や発音と関連のある濁点・不濁点、漢字に記入された振り片仮名、平仮名に記入された振り片仮名、平仮名に記入された振り漢字等を具体的な数値で示した点と、文献刊行当時の大名階級の学問的水準と文字表記、そして具体的な発音をそれぞれ用例を挙げて提示した点が、学術的に高く評価できる。

○ 受賞者: 坂口清香 (韓国外国語大学校)

○ 論文題目: 上級会話授業における教師コメントの分析 -上級会話の教科書作成に向けた 取り組み-
　　　　　 (第58輯, 2018年 12月, pp.22-44) [論文19-03]

*選定理由：この論文は、韓国人大学生日本語学習者を対象に実施した三年間の上級会話授業で教師が学習者に行ったコメントを類型化し分析することにより、多くの学習者が困難を感じる点と学習者が自分では認識しづらい点、学習者に必要な教師の授業活動の内容と方法等を具体的に示したものである。また、その結果を踏まえて、望ましい授業活動を提案し、その提案内容を反映した上級会話教科書を実際に作成することで、日本語教育に大きく 貢献した点が高く評価できる。

この学術賞は、当学会と学術賞協定を締結した城西国際大学と共同で設けたものであり、副賞として授与された賞金（各10万円）の財源は、城西国際大学の後援金により助成されたものです。